とある日の朝。たしか3月、ちょうど今頃。
空港行、快速電車指定席車両にて。
初老のご夫婦と思われる二人。通路を挟んで僕と同じ列。
自分の席に違う人が座っている。座っていたのは20代の夫婦と赤ん坊。
なんだかもめている様子。
車掌にいろいろ伝えたいのだが、車掌はそっけない対応。
よくあることだと、僕も気にしないでいた。
本が読みたかったのだ。
どうやら老夫婦が一本電車を間違えたらしい。
僕のとなりが空いていたので、そこにご主人が座った。奥さんは少し離れた席に別々に。
僕は必ず今日は読むと決めていたページから本を読んでいた。
いろいろ話しかけてくるので、本を読むのをやめた。
「途中の駅で待ち合わせするともだち(一緒に旅行に行くひと)が、いないと思って心配している」
「はじめて九州に行くのだが、こんな服装でだいじょうぶだろうか?」
「いちどキャンセルしたのだが、行くことにした」
「息子が、朝は電車が混んでいるので指定席をとるようにいわれた。なのに、(間違ってしまい)
年をとるとだめだよなぁ。」と。
母よりは少し、年上か。同じようなことをしたら、母も同じような対応であろう。
むかしは、こんなことが普通だったのだろう。
知らない人と車中で、自分のことを話すなど。
久しぶりに、なんだかほっとした。
あの日読もうと思ってた本を再び手に取り、ふとあの日のことを思い出した。
今日と同じ、冬に逆戻りするような雪の朝だった。
2017.3.23
Kei Sato
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